2015全米オープンダスティン・ジョンソンがJ・スピースに負けた訳
2015全米オープンはワシントン州センバーズベイGC7,384ヤードと長くおまけにグリーン複雑なアンジュレーションと、荒れた芝にどの選手も悩まされるコンディションであった。
優勝はご存じとおり、最終日首位から出たジョーダン・スピースが4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの69で回り優勝した。
その最終日の大詰めを振り返る。
17番ダスティン・ジョンソンがバーディーを奪い、この時点で先を行く、J・スピースと4アンダーで並ぶ。
この直後、18番でスピースはイーグルパットこそ逃したが、バーディーを奪い、5アンダーとし、ジョンソンの最終ホールの行方を待っていた。
ここからドラマは始まっている。最終ホールは601ヤード、PAR5、ジョンソンの思いっきり叩いたドライバーは、高い放物線を描き、何と360ヤード超えのフェアーウェイど真ん中、そして残り247ヤードをなんと5番アイアンで、グリーン左奥4m弱に2オンし、この時点で、下りの4mを決めれば、ジョンソンの優勝、2パットでプレーオフという状況となった。
同組でほぼ同じラインからJ・デイが4mの下りパットを打ったが、決めきれずパー、ジョンソンはほぼ同じラインで大いに参考になったはずだ。しかし慎重に打った下り4m弱は左カップをすり抜け、1m強の上りパットが残った。
この時点で、誰もがプレーオフと思ったに違いない、 クラブハウスで待つ、スピースもそう思ったに違いない。
しかし、悲劇はこのあと起こった。確かに難グリーンに各選手苦しんだことは事実、とはいえ、上り1m強の返し、
しびれているようには見えなかった。むしろ簡単に打ったように見えたパットは、なんとカップの左の淵にわずかに触ったものの、入らず、3パットで、この瞬間スピースの優勝が決まった。
ここで返しの上り1m強がなぜ外れたのかについて、誰も言っていないが、私なりに考察深堀する。
まず知っていただきたいのは、トーナメントプロは同じボールをキズなどなくても3ホール以上使わないという事実だ。
昔の糸巻きバラタカバーのボールでは、飛ばし屋はほぼ2~3ホール毎、ボールを替えていた。
現在のボールはそのころのボールとは格段に耐久性は向上しているのでそれほど頻繁に替えなくても良さそうであるが、それは一般のヘッドスピード(50m/S)前後の話である。
今回のジョンソンは、最終18番、スピースに1打後れを取っており、この最終ロングホールで絶対2オンを果たし、できればイーグルを狙いたかったはずである。
ジョンソンのこの場面で放った渾身のティーショットは360ヤード超えた。
セカンドは5番アイアンで250ヤード飛ばし、見事狙いとおり、いやそれ以上であったに違いない。
ティーショットがドライバーで360ヤードということはヘッドスピードに換算すると、70m/S、5番アイアンで放された247ヤードはヘッドスピード60m/Sということになる。
ボールにかかる衝撃はトン単位で、いくらボールの耐久性が良くなっているとはいえ、そんな衝撃はボールメーカーも想定はしていない。当然目には見えなくても、構造上中は潰れているのである。
ジョンソンの使用球はツアープリファードX、(5ピースウレタンカバー)5ピースということは、5種類の違った素材をくっつけているわけだから、特にコアとカバーは剥離しやすい)5番アイアンのロフトは27度、そんなヘッドで60m/Sでこすられたのでは、ウレタンカバーとコアには剥離や歪みが生じる。
私は過去に米国のあるゴルフメーカーに所属し、ボールの開発、製造にもかかわったことがある。
ここだけの話として、ボールは真円でなくてはならないが、市販のボールは真円はほとんどない。プロに供給するボールは別ラインで製造され、かつ全てのボールをボールスケールで測り、真円の物だけをセレクトし供給しているという事実である。
真円でなければボールを真っ直ぐ打ち出すことは難しい。ショットなら数ヤード誤差は許されるが、パットでは数センチの誤差も許されない。もっとも上に書いた市販のボールには真円はほとんどないというのは、製造の歩留まりを優先し、一般ゴルファーにはわからないだろうということだ。馬鹿にした話である。
話を戻すと、ジョンソンのグリーンオンした4m弱下りの1STパットが外れたのは仕方ないが、返しの1m強、しかも上りを入れられなかったのは読み違いや、ミスパットではなく、ハードヒットによってできた剥離や歪みの部分を打ってしまい、ボールが弾かず、パターフェースにわずかにくっついた結果左へ外れてしまったのである。
グリーンオンした球は、明らかにボールについたキズ以外替えられない。飛ばし屋の思わぬ落とし穴といえそうだ。
優勝はご存じとおり、最終日首位から出たジョーダン・スピースが4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの69で回り優勝した。
その最終日の大詰めを振り返る。
17番ダスティン・ジョンソンがバーディーを奪い、この時点で先を行く、J・スピースと4アンダーで並ぶ。
この直後、18番でスピースはイーグルパットこそ逃したが、バーディーを奪い、5アンダーとし、ジョンソンの最終ホールの行方を待っていた。
ここからドラマは始まっている。最終ホールは601ヤード、PAR5、ジョンソンの思いっきり叩いたドライバーは、高い放物線を描き、何と360ヤード超えのフェアーウェイど真ん中、そして残り247ヤードをなんと5番アイアンで、グリーン左奥4m弱に2オンし、この時点で、下りの4mを決めれば、ジョンソンの優勝、2パットでプレーオフという状況となった。
同組でほぼ同じラインからJ・デイが4mの下りパットを打ったが、決めきれずパー、ジョンソンはほぼ同じラインで大いに参考になったはずだ。しかし慎重に打った下り4m弱は左カップをすり抜け、1m強の上りパットが残った。
この時点で、誰もがプレーオフと思ったに違いない、 クラブハウスで待つ、スピースもそう思ったに違いない。
しかし、悲劇はこのあと起こった。確かに難グリーンに各選手苦しんだことは事実、とはいえ、上り1m強の返し、
しびれているようには見えなかった。むしろ簡単に打ったように見えたパットは、なんとカップの左の淵にわずかに触ったものの、入らず、3パットで、この瞬間スピースの優勝が決まった。
ここで返しの上り1m強がなぜ外れたのかについて、誰も言っていないが、私なりに考察深堀する。
まず知っていただきたいのは、トーナメントプロは同じボールをキズなどなくても3ホール以上使わないという事実だ。
昔の糸巻きバラタカバーのボールでは、飛ばし屋はほぼ2~3ホール毎、ボールを替えていた。
現在のボールはそのころのボールとは格段に耐久性は向上しているのでそれほど頻繁に替えなくても良さそうであるが、それは一般のヘッドスピード(50m/S)前後の話である。
今回のジョンソンは、最終18番、スピースに1打後れを取っており、この最終ロングホールで絶対2オンを果たし、できればイーグルを狙いたかったはずである。
ジョンソンのこの場面で放った渾身のティーショットは360ヤード超えた。
セカンドは5番アイアンで250ヤード飛ばし、見事狙いとおり、いやそれ以上であったに違いない。
ティーショットがドライバーで360ヤードということはヘッドスピードに換算すると、70m/S、5番アイアンで放された247ヤードはヘッドスピード60m/Sということになる。
ボールにかかる衝撃はトン単位で、いくらボールの耐久性が良くなっているとはいえ、そんな衝撃はボールメーカーも想定はしていない。当然目には見えなくても、構造上中は潰れているのである。
ジョンソンの使用球はツアープリファードX、(5ピースウレタンカバー)5ピースということは、5種類の違った素材をくっつけているわけだから、特にコアとカバーは剥離しやすい)5番アイアンのロフトは27度、そんなヘッドで60m/Sでこすられたのでは、ウレタンカバーとコアには剥離や歪みが生じる。
私は過去に米国のあるゴルフメーカーに所属し、ボールの開発、製造にもかかわったことがある。
ここだけの話として、ボールは真円でなくてはならないが、市販のボールは真円はほとんどない。プロに供給するボールは別ラインで製造され、かつ全てのボールをボールスケールで測り、真円の物だけをセレクトし供給しているという事実である。
真円でなければボールを真っ直ぐ打ち出すことは難しい。ショットなら数ヤード誤差は許されるが、パットでは数センチの誤差も許されない。もっとも上に書いた市販のボールには真円はほとんどないというのは、製造の歩留まりを優先し、一般ゴルファーにはわからないだろうということだ。馬鹿にした話である。
話を戻すと、ジョンソンのグリーンオンした4m弱下りの1STパットが外れたのは仕方ないが、返しの1m強、しかも上りを入れられなかったのは読み違いや、ミスパットではなく、ハードヒットによってできた剥離や歪みの部分を打ってしまい、ボールが弾かず、パターフェースにわずかにくっついた結果左へ外れてしまったのである。
グリーンオンした球は、明らかにボールについたキズ以外替えられない。飛ばし屋の思わぬ落とし穴といえそうだ。
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